◆ このページのポイント ◆
1.太田川の水は、広島市・呉市・東広島市・島しょ部に飲み水として供給される。
2.飲み水だけでなく農業用水としても使われるので、食べ物からの影響も危ぶまれる。
3.現行の玖谷埋立地から上流は新たに汚染される可能性があり、下流は汚染が上書きされる。
さて、これだけ工事内容に疑問点がある、
水や環境が汚染される可能性が高い、
という情報をまとめてきた上で、どうしても外せない、大事な点があります。
それは
恵下(えげ)は広島市の飲み水として供給されている太田川の源流にある、という点です。
太田川の水は安佐南区八木にある高瀬堰(たかせぜき)の八木取水場と高陽取水場にて取水され、
飲用水へと処理されています。
上記2つの画像は国土交通省中国地方整備局太田川河川事務所のPDFファイル「高瀬堰の役割と取り組み」から転載しました。
国土交通省中国地方整備局太田川河川事務所HP内「高瀬堰」のページによると、
高瀬堰の貯水池に貯められた水は、広島市水道局による上水道事業、また、県による水道用水供給事業によって
広島市や呉市、東広島市、竹原市、瀬戸内海の島しょ部を含む5市5町に送られており、
水道水や工業用の水に使われているとのことで、 約160万人に利用されているそうです。
恵下(えげ)埋立地は、広島市の山奥に広島市のごみ最終処分場がつくられる、というものですが、
実は広島市民だけでなく、周辺の市町村の飲み水にも広く影響を及ぼしかねない、大事業ということです。
「広島みずみち100万人フォーラム」と名付けましたが、「160万人フォーラム」のほうが的確だったかも…?!
ところで、現在でも太田川にほど近い安佐北区安佐町筒瀬に玖谷(くだに)埋立地があり、
すでに太田川の水は汚染されていると言えるかもしれません。
恵下埋立地はそのまたはるか上流、佐伯区湯来に埋立地をつくる計画です。
筒瀬から湯来といえば、市街化が進んでおらず、自然が豊かで田畑が広がる土地です。
上の地図を写真モードで閲覧するとそれがはっきり見て取れます。
山から流れてきた水で作物を育てて、それを食べ、それを生活の糧にしている農家もいる土地です。
恵下埋立地ができ、万が一浸出水が地下や川に漏れ出した場合には、この区間の田畑の作物も汚染される可能性があると言えます。
なお、玖谷埋立地について、
埋立終了を迎える予定の平成32年以降いつになるかはわかりませんが、
浸出水の水質が2年続けて基準以下になり「廃止」を迎えると、その後は浸出水を処理したり管理したりされなくなります。
その後に8.20のような豪雨災害や大地震などに襲われて埋立ごみの安定状態が崩れると、
また基準値以上の汚染水が出てくるリスクが否めません。
しかも、その時は処理もされない、汚染水原水が地下水や太田川にそのまま流れ込むことになります。
つまり、恵下埋立地ができると、玖谷から上流は飲み水・地下水・農業用水が新たに汚染され、
玖谷から下流は汚染が上書きされる、と言えそうです。
飲み水のみならず、地産地消、近郊で採れる野菜やお米が汚染されるかもしれないことは…
市民の広島市を愛し穏やかに暮らすあり方が、足元から崩れていくことに他なりません。