◆ このページのポイント ◆
1.恵下埋立地は用地取得面積が異様に広い。
2.埋立期間30年とされているが延長の公算が大。
3.市は災害がれき、中国地方のごみの受け入れ、それ以外の地域からの広域処理受け入れを
積極的に検討する姿勢。
4.過去に東日本大震災のがれき受け入れを市議会が議決。
今後数十年のうちに放射能を含む災害がれきが恵下埋立地に来る懸念も拭えない。
平成27年3月に制定された広島市の「ごみ処理基本計画」には、 「処分場を延命化」 することが記載されています。
焼却等を推進して、ごみの埋立量を減らし、埋立地の埋立期間を伸ばそうという計画です。
恵下(えげ)埋立地の埋立期間は、現在30年の計画ですが(国の基準は15年なので30年の時点でかなり長い)、
延命化によりさらに期間が長くなることが考えられます。
また、恵下埋立地に使用期限がきても、次の埋立地が決まっていない(できていない)場合は、
そのまま延長して使用する、という取り決めもあるそうです。
ところで、前にも示した通り、恵下埋立地の埋立容量は160万㎥です。
そこには以下のごみが埋められる計画です。
(広島市 恵下埋立計画環境影響評価書 要約書 (その1)より転載)
ごみ焼却施設で発生する焼却灰・飛灰、溶融スラグや家庭系・事業系不燃ごみのほか、
被災ごみなどの緊急搬入ごみも想定されています。
30年間の埋立期間内にマグニチュード7.0、最大震度6弱クラスの地震に2回被災したと仮定したものになっています。
こうした被災ごみについて、市はどうやら広島市内で発生したごみだけを想定しているわけではないようです。
広島市 一般廃棄物処理基本計画(平成27年3月)に、以下の記述があります。
○ 中国ブロックにおける連携等の検討
「災害廃棄物対策中国ブロック協議会」において、中国ブロック(鳥取県、島根県、岡山県、広島県及び山口県)における
災害廃棄物対策について情報共有を行うとともに、大規模災害時の廃棄物対策に関する連携等について検討します。(p.43)
また、
オ ごみの広域処理体制の構築
ごみ処理施設の集約化等による環境負荷・財政負担の低減や、災害対応の観点から、
ごみの広域処理体制の構築を推進し、近隣の自治体からごみ処理の要請があった場合、
本市のごみ処理能力の範囲内においてごみの受け入れ及び適正処理を検討します。(p.43)
つまり、中国地方で大規模災害が起きた場合は災害ごみを受け入れること、
その他の自治体であっても要請があればごみの受け入れと処理を検討することが明言されています。
ここで、こんな新聞記事があったので紹介します。
(2015年11月29日付 中国新聞朝刊)
右の1面の記事の黄色いマーカーで示した部分を転記します。
ここで気になるのは広島。ピンクのマーカー部に書かれています。
「情報収集から始め、受け入れの可否を慎重に検討する」が広島など2県
とのことです。
一方、平成24(2012)年8月に市環境局恵下埋立地建設事務所が出した「恵下埋立地(仮称)に関するQ&A」という資料の中に
下記の項目があります。
Q 東日本大震災の被災ごみは受け入れるのですか。
A 国が示した「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針」では、災害廃棄物は平成25年度を目途に
最終処分を行うとしているため、平成32年度供用開始予定の恵下埋立地(仮称)が直面する問題でないと
考えています。
この前提として、広島市議会では平成24(2012)年3月の議会で東日本大震災の瓦礫受け入れを決議しています。
これについては、岩手・宮城の震災瓦礫は平成26(2014)年3月までにの処理が終了見込みであるため
広島市は受け入れの検討を終了したとしています。
残るは福島のもので、福島県内で処理を進めているとのこと。
福島県の災害廃棄物は30年間福島県内で中間処理した後、福島県以外で最終処分することが決まっているそうで、
現在のところ、国が処分場を作る計画のようですが、埋立候補地はどこも反対しています。
環境省HP>>災害廃棄物処理情報サイト
上の新聞記事は原発から出る高レベル放射性廃棄物に関するものでしたが、広島県は一切拒否の姿勢ではなく、
「受け入れの可否を検討する」というどっちつかずの姿勢。。。
もしかするともしかして…
放射性物質を含んだ災害ごみが恵下埋立地に搬入されることが将来あるかもしれません。
<※2015.12.16追記>
恵下埋立地は広島“市”のごみ処分場の計画であり、“県”の施設をつくるのではありません。
したがって福島の高レベル放射性廃棄物が広島に持ち込まれる際(そんなこと考えたくもないですが)は
「恵下」と決められているわけではありません。
ただ、このような “放射性物質受け入れについて明確にNOと言わない姿勢” であることは
県であれ市であれ市民にとって受け入れ難いことであり、また市民が把握すべき事実であります。
市民の知らないところでこっそり推進することがないよう見張ることを呼びかけたいと思います。
そうでなくても、日本には原発が海岸線を囲むように54基あり、現在稼働していないところであっても
内部に使用済み燃料棒などの放射性廃棄物があり、冷却が続けられています。
特に東日本大震災以降、日本各地で地震が頻発していますが、
不思議なほどに原発立地点のすぐ近くが震源地となった地震が福島を含め多く発生しています。
大きいところでは2014年3月の伊予灘地震(マグニチュード6.2 最大震度5強)は愛媛の伊方原発に近い場所が震源でした。
島根原発に近いところや、佐賀の玄海原発に近いところでも地震が起こっています。
岩手・宮城の震災瓦礫が恵下埋立地に埋められることはひとまずないようですが、
今後またどこかの原発の近くで大地震が起こり、原発が壊れ、環境に放射性物質が放出され、
大量の震災瓦礫に放射性物質が含まれるような事態が起こらないとは限りません。
しかもそれが中国地方の島根原発で起こったら…かなりの確率で広島はその瓦礫を受け入れるのではないでしょうか。
それが、市民の飲み水・農業用水 太田川の上流、恵下埋立地に来たら…?
埋立地の遮水構造、浸出水調整池の大きさ、浸出水を自然の摂理に逆らってポンプアップして排水すること…
安全性に不安の尽きない恵下埋立地に、放射性のごみが埋められたら残念ながらもうアウト!!!です。
放射性物質には様々なものがありますが、
放射性セシウムはどのように処理しても水に溶け出しやすい性質をもっていることがわかっており、非常に危険です。
それだけでなく、土ぼこりと一緒に舞って遮水・集水構造のない範囲にまで散らばったものは、
そのまま土壌や水を汚染するので、広島市内の飲み水だけでなく周辺地域に大きな影響を与えるのは必至です。
最後に。
どんなごみが、どれくらいの量埋め立てられる予定なのかは、このページの冒頭にも書きました。
●埋立期間 30年(延長が示唆されている)
●埋立容量 160万㎥
埋立期間は現行の玖谷(くだに)埋立地よりも長いですが(玖谷の建設時の計画は15年。延長され合計30年に)、
埋立容量は玖谷埋立地が410万㎥で、恵下埋立地は玖谷の1/3よりもちょっと大きいくらいで、意外と小さい設計になっています。
ところが…。
左は、恵下埋立地本体の用地買収の区域を示した図です。
(チラシNo.28)
恵下埋立地の本体は緑系のカラーで示された区域ですが、広島市は左図の通り、山の陵線までの区域を買収し、全体を市有地とすることとしています。
これは、何を意味しているのでしょうか?
玖谷では埋立地部分しか用地取得していなかったそうですが、
玖谷では延長のために50万㎥も拡張する工事がされました。
恵下埋立地も、期間だけでなく、容量も拡張していく可能性はなきにしもあらずです。
そういった可能性を考えたときに、この用地買収の区域のあまりの広さを見ていると、もしかしたら・・・?という猜疑心を抑えることができません。
かつて、安佐北区白木町に玖谷埋立地の次の埋立地を整備する計画が具体化したとき、
「表向きは15年間の計画であるが、ここに出来れば100年は続く」という話だったそうです。。
白木は15年間の埋立計画でしたが、住民の反対で中止となり、次の候補地として選ばれたのが恵下だということです。